Dreamin' Dawn

たいがいまぁまぁのポエム

Reheat me

BUTTERFLY EFFECT(初回生産限定盤)(DVD付)

BUTTERFLY EFFECT(初回生産限定盤)(DVD付)

ポルノグラフィティの新譜、『BUTTERFLY EFFECT』を何度か聴いてみての感想です。

いつかの自分のために注意書き、「誰かの話を聞いて〜」「どこかで見かけたんだけど〜」のような前置きがないところは、
自分で思ったこと/気づいたことしか書いてません。そうでないとこうして書く意味はないでしょう。
インターネットの世界でいうと後出しみたいになっちゃうけど、遅筆なのは今にはじまったことではないし。

もうひとつ、わたし以外で読んでくださるかた(ありがとうございます)へ向けての前置き。
わたしは新しいCD(とりわけアルバム)を手にしたとき、
歌詞カードを一読→歌詞カードを手にアルバムを最初から最後まで通して聴く、という順番で触れていきます。基本的には。
その手順を踏むようになったのはいつからだろうか、、、
物心がついたころ…というとあれだけど、自分(のおこづかい)でCDを買うころ、気づいたときにはもう、そうやってました。
たぶん、そうしはじめたのはポルノがきっかけだったと思う。
(そのころのわたしがなにかをはじめるきっかけは、十中八九かれらだったから)
少なくともポルノのアルバムについては、毎回必ずこの手順を踏んできたし、今回もそうしました。

というわけで、以下曲ごとの感想には、
・歌詞を読んだ段階(曲を聴く前)のものには「◇」
・曲を聴いたあとのものには「◆」
をつけて、分けて書いています。(シングル既発曲は「◆」のみの場合もあります)
その点を説明させてもらったうえで、以下、お時間があればどうぞ。まぁまぁ長いです。

* * * * * * *

M1. THE DAY
◆聴きなれたのもあるんだろうけど、音がちゃんと聴こえてきて。
左右のバランスとか出しかたとか、こだわってるんだなぁって(今更)
最後の、音の消えかたが綺麗だなぁと
いやでもほんと、今回いつも以上に音に(そして音の処理に)こだわってる…のでは…?と感じた。
iPodiPhoneとか、たぶん決して良い環境では聴けてないけど、それでもそう感じたくらい。もっともわたしの耳も大概だからわからん、あくまでも個人の感想です。


M2. Working men blues
◇アルバム内の新曲で唯一、先行でオンエアされていた曲。
だからリリースの約1ヶ月前に*1聴いてたんだけど、、、どうもしっくりきてなくて。
曲はめちゃめちゃかっこよい!!!!!イントロのドラムも、なんてったってギター!

でもそのときから、2番サビのこれがね、どーーーしてもわからなくて。歌詞。

代わりがいるなら連れてこいよ Working men blues

これがね、誰に向かって言ってる言葉なんだろう。
独り言というか、ちょっとニュアンスは違うけど、ボヤキみたいなもんなのかなぁ…。

1番サビの「お前がやらなきゃ誰がやる? Working men blues」も最初はわからなくて、
でもしばらく考えて、ここはWorking menが自分で自分に言い聞かせてるんだろうな、と(勝手に)納得したんだけど。
こっちがどうにもわからない。
"代わり"って、Working menの"代わり"ってのはわかるんだけど、それは「歯車として」の"代わり"のことなのか、
それとも「『君』にとっての『あなた』(という役割)」の"代わり"なのか、
もしくは別のなにかなのか…うぅむわからない。どれもしっくりこない。
どうやらいまのわたしでは力不足の模様、、、なんとかしたい。聴きこんだらもっとみえてくるかな。ライブで聴いたらどうなるかな。

…実はもういっこ首をひねるところがあったんだけど、それはもう半ば以上ファンのエゴなので割愛。
部分部分ですごくぐっとくるところもあるんだけど…どうも、歯車になりきれない歯車です。
いろいろ考えてもなんだかんだ言っても、ライブではきっと新藤のギターに蹂躙されるんだろうなぁ
って言ってたらこの曲、ドラマのタイアップなんですね。あぁなるほどね…と思ったところで。

◆じゅくじゅくはじまるイントロがよい、燻ってる感じ、アウトロのギターの一音で引っ張るのも、ここもすごく音としてすきだなぁ
自身でも言ってたけど、岡野の歌いかた、表現力が増してるなぁって実感させられた。音源でこれならライブだと増し増しなんでしょう、きっと!


M3. 君の愛読書がケルアックだった件
◇すごい、情景が絵として映像として思い浮かぶ…!
もっとも、前情報として新藤の「こういうタイトルの映画があったとして、そのタイアップ曲として書いた」って話*2を聞いてたところによるのかな
「君」が中学生のころの新藤、村上春樹を1人読んでた新藤を思い出させるなぁ
あとは勝手ながらに、岡野詞曲だけど「見つめている」という曲が連想されたなぁ

◆歌いだし、「ケルアックだったっけ?」に聞こえて、
本屋さんで「ケル…アック…?」と思いながら探した1ヶ月前の自らの姿を思い出すなど*3
歌詞、よく読んでみると、メロの歌詞はわかりやすく主人公の目線で書かれてるなと思ったけど、
このサビの歌詞はもうひとつ俯瞰で、主人公を見守ってる第三者の言葉のように聴こえる。
だからサビの歌詞、さっきも書いたけど、新藤さん自身が語ってるこういうエピソードを知ってるファンとしては、
いまの新藤さんから、若き日の自分、新藤少年に向けて贈る言葉のようにも聴こえるんだ

top.tsite.jp

自分の初期衝動としては、(出身地である)因島という小さな島での閉塞感のなかで、すがるように手に取ったいくつもの本の向こうにすごく広い未知の世界が広がっていて、そこに救われていた部分がありました。だから、読んでくださるみなさんにも、そういうものを感じて欲しいと思って。

サウンド面では、うわぁぁぁサビにかけての盛り上げかた、映画の主題歌っぽい、ちゃんとテーマに沿ってる
2番歌いだしの音が減ってキラキラしてるのとか、すごい、J-POPの王道に則ってる、セオリーどおりだ、すごい


M4. I believe
◇これは岡野からお子さんに向けたうたのような気がする、なんとなく
ジャスミンティー、飲むのかなぁ
あとそう、「"No one 〜"」って歌詞、ボン・ジョヴィの曲で近いタイトルのものがあるんだね。
(引用符がついてたから、なんとなくGoogle検索してみたら引っかかった)(そ、そんなもんです)
もっとも、この曲名と完全に一致してるわけじゃないんだけど、、、
歌詞の最後にある"do"があるかないか、そこで意味が違ってくるってのは…なんとか…わかる…つもり……(フェードアウト)
ただまぁその、タワレコのフリーペーパー『TOWER+』で、「岡野詞にはガンズの曲名が隠れているものがある(大意)」って書いてくれてたのを思い出してさ。
これもそういうシリーズなのかなぁ、と思ったのよ。

mikiki.tokyo.jp

◆イントロがものっすごく演歌のイントロのように聞こえたワイの耳…
音、妙にキラキラいうてるなぁ
何回か聴いてて気づいた、この歌いかた、バラードの歌いかたがわたしの苦手なやつじゃない。最後が下がっていくやつ。
この歌詞、やっぱりわたしは親御さんのお気持ち、もっと大きくいうと、自分よりあとに生まれた人へのうただと思うんだよなぁ。


M5. LiAR
◆この流れで聴くと、やっぱりだいぶいろんな音が入ってるんだなぁと、改めて
「Du La Pa Pa Pa Bailar」、ここで聴いても頭ひとつ抜けるくらい、音としてすきなんだよなぁ。岡野の声で聴くのは特別だし、自分で口ずさみたくもなる。


M6. Fade away
◇…一読してる途中でびっくりした、岡野詞に一発で射抜かれた
研ぎ澄まされてきてる…ような気がする

昨日と同じ涙は嫌い

岡野詞で一人称が「わたし」ってあんまりないような気がするなぁ。

◆この音色、BPM。出た出た、岡野詞曲(^ω^)とにやにやしてたところで
サビで巻き舌!!!うおおおお「昨日と同じ涙は嫌い」、このおどろおどろしさ、迫力って言っちゃうとなんだけど、凄み
これはもうぜひ、ライブで聴きたいです。あとライブで康兵選手の鍵盤がどうなってるのか楽しみだなぁと、なんとなく
あと、この曲調にこの歌詞って、もしかしたら…今年5月OnAirのラジオ番組で対談してた、Aimerさんとのお話の影響があるのかなぁ

Walkin' Talkin' ー徒然ダイアローグー


M7. クリスマスのHide & Seek
◇歌詞カードのページを捲った瞬間に感じた、ま、眩しさの供給過多…
歌詞カードに瞬くカタカナ、とりわけ輝きを放つのがこの畳みかけ
「サイレントナイト ホーリーナイト」 ま、眩しい……
と思ってたら、まったく予想もしないところ、まさにそこの続きでぐっときてしまった

サイレントナイト ホーリーナイト 偽らず歌うことができない僕は
ずっとひとり 街の音を聞いてる

盤が届く前→歌詞を読んだところでの期待度の上がり方がいちばん高いのは、この曲だなぁ

◆あらま、前曲とここの曲間を詰めるのか!意外だったけど納得した
間奏のキーボード?が!すきな音!皆川さんかー!
意識して聴いてみたらドラムやベースは踊れる感じがするんだけど(「Montage」とか、過去曲でいうと「ルーシーに微熱」みたいな)、
上ものの感じがキラキラしてるから、曲としてそうはならないんだろうねぇ。
Cメロの「何年か前は〜」のくだり、こう言われるとかれらの定番クリスマスソング・「Hard Days〜」で描かれたエピソードが思い浮かぶよね(^ω^)
(上で挙げた『TOWER+』で書いてもらってた、「古くからのファンでないとわからないような遊び心」ってのがこれなのかなぁ)
はてさてそれを狙って、もっと言うとファンサーヴィスとしてこういう表現にしたのか、
それとも偶然そういうふうに聞こえるようになったのか、はてさてどうなんだろうね(^ω^)
いずれにしても、にやっとしてしまうことに変わりはないんだけど(^ω^)


M8. MICROWAVE
◇リリース前に期待度がいちばん高かった曲(1つ目)
案の定、比喩にまみれて(むしろ比喩しかないくらい)一読しただけでよくわからない感じが、新藤!!!!!
あぁ、新藤成分の充填!!!!!すき!!!!!
「二度とひらけない」か「二度とあけない」か、どっちだろう

◆はい、すきーーーこの曲調、トオミヨウさんの音色がすきなんだろうか。
と思ってたらインターネットで見かけました、
そうでした、個人的にここ5年で3本の指に入るくらいのポルノ内個人的ベストヒット曲「星球」、トオミさんの編曲なんだよね!と膝を打つなど
(あっ、それを考えると期待してしまう、このツアーで「星球」やってくれないかなぁ…
「Working〜」の話で、以前に書いた近いテーマの曲として、新藤がちょくちょくこの曲のことを口にしてたし)
「あけない」でしたね。あけない。「あかない(ひらかない)」じゃなくて「あけない」。
ってそっか、次の「会えない」と韻を踏んでるのもあるんだね。
前曲とここはアルバムのこの流れで聴きたいなぁ、ツアーでも!


M9. 夜間飛行
◇リリース前に期待度がいちばん高かった曲(2つ目)
「月が綺麗」って夏目漱石だよね…?愛の告白、なんだろうか…でも「的外れな言葉」なんだよねぇ
本人の意図とは違ってるかもしれないけど…この詞、ベッドの上での情景が思い浮かぶんだよねぇ。
1曲を通して、そういうシチュエーションが目に浮かんだんだよね。*4
(「FLY」って単語が、過去曲「まほろば○△」の「君はベッドの下で飛ぶと叫んだあと」に繋がったのかもしれないなぁ)
そして気になった、もしそうだとして、この曲はアレンジが康兵選手なんだよね…?
勝手ながらに…これまでの康兵選手の音のイメージには含まれてない色なので、どうなってるのか気になるなぁ

◆ここも前曲との曲間詰めてたねぇ
前曲の直接的な言葉との対比が鮮やかで、その点からもこの曲順には唸らされるなぁ
そしてこう思わされるのは何度目か、直接的な言葉も、美しいとしか言いようがない比喩も使いこなして、
作品として完成させられている(ようにみえる、わたしには)のが、あぁ、新藤詞だなぁ。

というわけで歌詞について。
・さっき気になった「FLY」
なんで大文字なんだろうって考えてみたんだけど、英語でいう命令文なんだろうかなぁ。
1回目は「君」から「私」への言葉、2回目は「私」から「君」への言葉、
3回目はどうなんだろう、「君」から「私」への言葉のリフレイン(実際は聞こえていない、「私」の頭のなかだけで鳴ってる)にも聴こえるし、
「私」から「君」への切実な言葉(切実さが溢れたがゆえのリフレイン)にも聴こえるんだけど、どうなのかなぁ。
・2番サビの「止まればいいのに」
これはさ、あまりにも幸せな瞬間に出てくるセリフの鉄板、"このまま時が止まればいいのに"っていう気持ちと、
単純に「この時計の音(聞こえてなくても、時計が動いている以上は鳴っている)が止まればいいのに」、
言い換えると、時計なんか外してくれればいいのに、なんなら壊れて止まってしまえばいいのにって気持ち、これら両方なのかもしれないなぁ
・最後の一行、この「パフューム」
これはさぁ、「君」のものなのか、第三者のもの(の残り香)なのか、、、
「君」がほかの人の好みに合わせて(「私」の好みではなく)つけてるパフューム、ともとれるよね。
「私」が(自分は好きじゃないけど)「君」の好み*5に合わせてつけてるパフューム、かもしれないし。

あーーーーー、こういうの、こういうのってこういうのを勝手にいろいろ考えるの、それがほんとにたのしいなぁ。
こういうたのしみをありがとう。
あと思ったのが、新藤って語感もだけど韻を踏むのは考えてるよなぁと思った。

そしてあぁ、康兵選手のピアノはここでも透き通っているなぁ。そうか、そうきたかぁ…!
新藤はこういうギターを弾かせたらよい味出すよなぁ、と今更偉そうに。でもほんと、新藤のこういうギター、好きなんです。
なんか、この曲はすごく落ち着くんだなぁ…よく眠れそう。
それでも最後に「ジャーン」ってオチをつけて締める感じが、なんだかポルノらしいなと思ってしまった。
あと歌詞カードこのページの岡野の写真、レザーのジャケットがパイロットが着るジャケットみたいだなぁ。


M10. 真っ白な灰になるまで、燃やし尽くせ
◆あぁこの逼迫した感じ!ここも前曲からの落差!
2番メロのギター、増してるねぇってにやっとしてしまった
ヴォーカルだけでなく、ギターも息継ぎない感じがした、切迫感
歌詞に関して、めっっっちゃ今更だけど、、、わたしはいまこのタイミングで気づいたので書きます。
これらふたつってなんか、似てるよね

光と闇はいつも隣り合わせにあって
そのど真ん中に立っていること 誰も教えてはくれない
(「真っ白な灰になるまで、燃やし尽くせ」)

ここは地獄じゃなくて まして天国のはずもなく
ちょうどそのミシン目のような場所なんだ
(「THE DAY」)

…どんだけ聴いてなかったんでしょうね、すんません


M.11 170828-29
◇ちらっと読んで思った、これはこのタイトルにしたくなるわ。
「ピースピース」、どんなメロディでどんなテンションでうたってるんだろう…

◆結構激しめのサウンドだねぇ。意外だった、歌詞を読んだ時点ではもっとカラッとした音かと思ってた。
と思ってたら、このサウンドのなかでヴォコーダーが出てくるのも意外だった。
そして「ピースピース」、が予想以上に出てくる。もう連呼してる。
ライブで激しく、狂ったように連呼してる画が浮かんだけど、いかに。
ここは絶対に、こっちも必死で掲げてやるんだ、ピースサイン


M.12 Montage
◇「モンタージュ」はカタカナなんだね。「フォトグラフ」も。今更。。。

◆このリズム、やっぱりすきだわ。ずっちゃっずっちゃっずっちゃっずっちゃっ
新藤なりの「ダンスミュージック」ってこれじゃないかなぁ。
これまでのポルノ、そしてきっとサポートドラマーの真助ちゃんにとっては、
ポンプさんのいうところの「自分の宗教にはない」*6ってやつかもしらんけど。


M.13 スパイス
◇歌詞カード、英文字は半角やのに、数字は全角やねんな…(第一声がそこ)(…)
読み終わった感想「うっわーーーこのタイトルにこの歌詞は、予想外」
最後の1行の強烈さな

◆わー!カントリー!すごい、めっちゃカントリーだ。ポルノってこんな曲もできるの…!
カントリーってさ、それがいいとか悪いとかじゃなく、まぁ最新の音楽でもなければ、今の音楽シーンの主流でもないじゃん。
どちらかというと伝統を感じさせるジャンルで。
(そしてこの曲はその伝統寄り、間違いなくポップソングだけど伝統側に近いんじゃないかなぁと思う、素人が勝手に思うだけです)
そこに「アプリ」やら「変顔をキメる」やら、なんというか現代語の歌詞が乗ってくるギャップ!ちょっと笑った。

お察しかもしれませんが、歌詞を読んだ時点から多分に感じる既視感でまぁまぁ思考停止してたんだけど、
インターネットで目にした感想でなるほどと思わされた、これはお子さんとのエピソードを曲にしたのかもしれない、と。なるほどなぁ
上で書いたとおり、M4で同じようなことを感じたんだけど、そちらはもっと一般化した、普遍的な感じがするよなぁ
その一方でこちらは具体的なエピソード、だからごく私的な、個人的な気持ちを書いたように聞こえる。さぁ、どう聴こうかなぁ


M.14 キング&クイーン
◆あぁ、こうやって聴くと「帰ってきた」感あるわ。めちゃめちゃある。
ここまで聴いてきたなかでも、アルバム曲の次にシングル曲聴くと「あぁ知ってる曲だ〜馴染みのある感じ〜〜」と思ったけど、
ここはこれまで以上に、めちゃめちゃその感じがある、知ってる。このうた演ってるひとたち、知ってる。

正直に言うと、いまでもこの曲を単体で聴くと「この眩しさはわたしには過ぎる…過剰……」と思うし、なんならちょっと後ろめたくなるくらいなんだけど。
それでもなんだかんだ言って、やっぱりわたしの考える"ポルノグラフィティ"にも含まれてるんだろうね、この曲の感じが。
「帰ってきた」って、たぶん「わたしの知ってるポルノグラフィティのところへ帰ってきた」ってことなんだろうからね。*7

それはともかく、うん、この曲が最後にくることで、アルバムとしても大団円!!!って感じがするよなぁ。
新藤がカフェイン11*8でのアルバム全曲紹介で「この曲は最初か最後しかなかった」って言ってたけど、
たとえばもし最後の曲が「THE DAY」だとしたら、全然違う印象のアルバムになってたんじゃないかなと思う。
もっと言うと、前作『RHINOCEROS』に近いにおいがしたんじゃないかな、などと。

* * * * * * *

この流れで。アルバム全体の話をしようと思ったときにね、前作『RHINOCEROS』のことを思い出したの。

yellowsky.hatenablog.jp
(当時の感想文、改めて読むと結構支離滅裂で…つらい…)

当時はここにはっきりとは書いてなかったね、実は『RHINOCEROS』をはじめて聴いたとき、あまりの衝撃に2巡目を聴くまでに3日かかりました。
なんでって、とにかく1曲目「ANGRY BIRD」の衝撃が強すぎて、打ちのめされて、振り落とされて、そのテンションについていけなくて。呆然としてしまった。
アルバム1巡目はそのテンションに引っ張られたまま最後まで聴いてしまって、2巡目になかなか触手が伸びなかった。なんというか、そのためには気力が要った。
いまだにその印象は残ってて。そこを乗り越えたら、久しぶりに通して聴きこめたアルバムになったんだけど。

その『RHINOCEROS』リリース当時のことを思い出して。
当時、新藤が「高揚感のあるアルバムにしたかった」、岡野が「ハイカロリーなアルバム」って言ってたし、それが叶ってるなぁと思ってたけど、
いまこうして次作を聴くと、たしかに、そう言ってたのがより一層わかったなぁ。

そう考えると、今回はとにかくサウンド面でめちゃくちゃ聴きやすいんだ…。
もっと言うとしんどくない。素に近いテンションで聴ける。とりわけアルバム曲…!(サムズアップ)
それに対してシングル5曲はやっぱりどこかハイテンション、
アップテンポってだけじゃなくて、畳みかけるような、生き急ぐような感じがする。個人の感想です。

その両方が代わる代わる出てくる構成、そしてなにより曲調がこれまで以上に多様になってて、
その結果、今回はアルバムのなかであっち行ったりこっち行ったりで、すごく波というか起伏があるよなぁとも思うけど…。*9

ひとつ統一感を感じたところがあって、まぁわたしのポンコツ耳での感想だからあんまり説得力はないんだけど、
これまでの曲よりも(そしてシングル曲はシングルバージョンよりも)音が整理されているように感じるんだよなぁ。
特に曲の終わりかたがきれいだよなぁって。すっと終わる曲はもちろん、音が残る曲も、その音があとぐされでなく余韻になってる。

そして今回は曲順、そして曲間がすごくしっくりくるんだよね。*10
初聴きで驚かされたところ(上記曲ごとの感想でも触れたところ)はあるけど、2巡目以降はこれしかないなぁって思わされる。
ひととき余韻に浸る間があって、でもちゃんと次の曲がやってくる。絶妙だよなぁって。

繰り返すけど、この曲たちをアルバムとしてまとめるのって大変よ。ほんとに曲調もジャンルもテイストもてんでバラバラ。
岡野がリリース前にラジオ*11で言ってたけどさ、

2人が曲書くしまぁ歌詞も書くしみたいな、そういう意味ではもうほんま幅広くなるのはしょうがない、僕たちはいろんなもんが好きだし。

実際にアルバムを聴いてみて、この言葉にすごく頷いてる。
ほんとそう、ここまできたら、もうそれがかれら(の音楽性)の特徴のひとつだと思うんだ。
(そして個人的には、こうやってかれらのいろんなタイプの曲を聴けることがとてもうれしい。
わたしはかれらの曲で、いわゆる「シングル向け」の、パブリックイメージにあるような曲だけがすきなわけじゃないから。
だから、こうして新しいアルバムを手にできることが自体がとてもうれしい)

* * * * * * *

そしてもうひとつ、これも『RHINOCEROS』との比較になるんだけど。
当時のインタビュー*12で、
新藤が「いちリスナーとしての自分の嗜好性みたいなものを出せたらな」「他人にも自分にも当たってないものより、せめて自分に当たってるものを」
「自分が今ホントにやりたいこととか、自分が聴きたかったものを自分で作るんだ」という方針だったのに対して、
岡野からは「世の中が求めるものに応えていくことも大事なんだなと強く感じて」「間口の広いキャッチーなもの」
「ちゃんと最大公約数を満足させられるものを出したいっていうモード」「真っ向勝負な、わかりやすい作品」っていうキーワードが出てきてた。

そしたら今回は、ラジオ*13でこんなことを言ってた。

新藤「(前略)そういう意味では、より自分らの好きどころが出せたアルバムにできたんじゃないかなと」
岡野「そうだね。好きどころと、まぁなんかこだわりみたいなんがね、出せてるアルバム」

また、今作に関する話で「2〜3年前の曲もぽつぽつ入ってる」って言ってるけど*14
もしかしたら、前作に入らなくて今作に入った曲もあるのかもなぁ、などと。

いずれにせよ、その、いまのかれらの音楽性、"好きどころ"を1枚に詰め込んで、
なんというかありのまま、こうして届けてくれたことがうれしいです。

* * * * * * *

…こう書いてみると、思ってたよりも、わたしはこのアルバムが気に入ってるみたいですね。
となるとこのアルバムを引っさげたツアー、そりゃあもう当然、たのしみにしてます。

*1:2017.9.28 ポルノグラフィティの"しまなみテレビ"にて

*2:2017.9.28 ポルノグラフィティの"しまなみテレビ"など

*3:オン・ザ・ロード』を購入。なお、まだ読了できていない模様

*4:※雑誌『音楽と人』2017年12月号を読んだのはちょっと先の話です

*5:もっと言うと、それはほかの人が好きだから、「君」も好きになったもの

*6:「むらっさき」副音声参照

*7:自分のことだけど自分でもようわからんので、こんな曖昧な言いかた

*8:2017.10.16 OnAir

*9:余談、でも「散漫」という言葉は出てこなかったんだよなぁ

*10:これまでも意識して聴いてはいたんだけど、こんなに大事だと思い知らされたのははじめて

*11:2017.10.18 FM802 TACTY IN THE MORNING コメント

*12:『B-PASS』 2015年9月号、および『ワッツイン』2015年9月号

*13:2017.10.22 Monthly Artist File -THE VOICE-

*14:2017.10.22 Monthly Artist File -THE VOICE-