Dreamin' Dawn

たいがいまぁまぁのポエム

<2019年10月の読書記録>

月と六ペンス (新潮文庫)

月と六ペンス (新潮文庫)

再読。ただし金原瑞人さんの翻訳では初読。
岩波文庫で出てる行方昭夫さんの翻訳では過去に読んでる…たぶん複数回。
翻訳作品をあまり読まないこともあって、同じ作品をこうやって読んだのははじめてかもしれない。

なんでって、キラキラ装丁に惹かれて買っちゃいましたシリーズ第2弾


それはともかく、数年ぶりに読んだけど、まぁ面白かった。
著者のモーム、そして訳者にそんな意図があるかどうかはわからないけれど、
ところどころにぐっと惹きつけられる一文があって。
たとえばこの記事のタイトル。(この本から引用しました)(初読時によっぽど感銘を受けたんだろうね)(中身はただの日記です)

yellowsky.hatenablog.jp


これは行方さんの訳なんだけど、今回読んだ金原さんはこう訳してた。

神話は、平凡な人生に対するロマンチックな抵抗なのだ。

はーー、なるほど。
と思いながら読み進めた次第。
ほかにも今回いくつか手帳に書き留めた文章はあったんだけれど、特筆すべきは最後の場面、そして最後の数文。

主人公のように、目の前の出来事と関係のない事象を夢想していること、
そういうことはわたし自身にもよくあって、そこに共感を覚えたのと*1
それがこの長編の最後の場面になっているということ。
そしてその最後の一文に、だいすきな牡蠣が出てくること。(…)

たぶんこれからもずっと一緒にいる本なんだろうな、などと。
京都のお店「月と六ペンス」にも行きたくなった。


且坐喫茶

且坐喫茶

たぶん買ったのは昨年で、最初のほうを読んで、しばらくそのまま置いてたんだけど、今月残り3分の2くらいを一気読みした。
それくらい、読み進めるごとにどんどん面白くなっていった。

とはいえ、この本を読了したいまでも、はっきり言うとお茶のことは全然「わからない」。
(いしいさんも最後の章で「わからない」と書いてらっしゃるけど、言うまでもなくそれとは比較にならない)

それでもこんなにこの本が面白くなっていったのは、いしいさんがお茶の真髄、まんなかに、きっとどんどん近づいていってる、
そのさまがありありと伝わってきたからじゃないかなぁ。
そしてその段階が、その様子が、いしいさんの、いしいさん自身の(オリジナルの)表現で書かれているからじゃないかなぁと思った。

いしいさんご自身はまだまだお茶が「わからない」にしても(そしてそれはたぶんほんとうで、おっしゃるとおりきっとお茶はそういうものなんだろうし)、
それでもわたしのすきないしいさんの言葉がいきいきと綴られていて、あぁ面白かった。

さらにはタイミングの妙というべきか、ポルノグラフィティの東京ドーム公演の感想文を書いているところで、
なんかこう、ひとつヒントをもらったような気持ち。(…なんや感想文のヒントって)(セルフつっこみ)


* * * * * * *


はーーー10月ねぇ。
広島、そして大阪で出張ポルノ展を満喫したり、愛媛まで数ヶ月ぶりの功治くんのプレーを観に行ったり、
海を渡ってすぐのところに中澤さんのトークショーを聴きに行ったり、近場でWOWOW遠征キメたりして、
たしかに息継ぎできた瞬間はあったんだけど、まぁほとんどは潜りっぱなしの10月でした。

最近、この曲がよく頭のなかで流れてるんだよね。
前回流れてたのはいつだったかなぁ。
少なくとも、最初に流れてたのは11年前の9月か10月、その理由も含めてよく覚えてる。

*1:そんな場面はこの本のなかに何度も出てくる、いま考えるとこの共感がわたしにとってのこの本の魅力のひとつかもしれない