Dreamin' Dawn

たいがいまぁまぁのポエム

<2020年9月の読書記録>

さらっと数時間で読了。
愉しく読めたところはあるんだけど、どこか首を捻るところもあり。
著作を全部読めたわけではないから、大口は叩けないんだけど…
わたしが読んだなかではこれまでになく、スーさん個人の、個人的な文章なのかなと思った。個人的じゃないエッセイってなんやねんって話やけど。
社会に向けた発信というよりは、個人のチャレンジの記録、といった印象。
首を捻った理由、もしかしたらそのことが冒頭や見出しに書かれていなかった(読み取れなかった)からなのかもしれないなぁ。

【追記】
これは普段から聴いているラジオ(TBSラジオ「生活は踊る」)との比較になるんだけれど。
スーさんご自身のことをご自身で書いた文章だからこそ、ラジオのお話やこれまでに読んだ著作たちと比べて、筆鋒鋭く感じたのかなぁ、などと。


* * * * * * *


9月は仕事が忙しすぎた!
まじでほんとに仕事しすぎ、土日に仕事とかまさに人生における本末転倒、尋常じゃない(まぁ土曜出勤は今後もあるんだけど)
いまはライブも試合も(行け)ないからいいけど、今後はちゃんと調整するように。。。自戒を込めて。。。

そんななか、無理して行った映画館で観た2本に救われてる。
「Reframe」と東京事変のライブビューイング、どちらにもかけるなら、この1日で「再生」させてもらった気持ち。ありがたいや

<2020年8月の読書記録>

昔も今も (ちくま文庫)

昔も今も (ちくま文庫)

たぶん大学生以来の再読。
当時モームを知ったばかりのわたしは、すぐ手に入る本を夢中になって読んでいたところで、
この本が圧倒的に面白かったと感じたことを覚えている。
…その割にしばらく読んでなかったけど。長編ゆえになかなか手が伸びなかった。。。

そして今回読んでみて、やっぱり面白かった。お見事、とすら思う。
とはいえ、時代感覚にちょっと閉口したところがあったのも事実。そう考えるとこの何年かでの自らの変化を実感した、なぁ


「この本は課題図書」
この帯の言葉に全文同意してる。

わたし個人にとっても課題図書だと思う。ひとりの大人として考えないといけない種が、アップデートしないといけない感覚が、
こんなにもたくさん存在しているという事実を突きつけられてる。
振り返るとその重さや大きさにプレッシャーを感じることもあるけれど。

それと同時に、帯によると既に50万部発行されているようで、
もしかしたら同じように思っている人がそれだけいるのかな、と心強くも思っている。
そういう社会で生きたいです。そしてそこにいるための教養は身につけたい。身につけるための努力は惜しみたくない。


安心毛布 (中公文庫)

安心毛布 (中公文庫)

<2020年7月の読書記録>

魔法飛行 (中公文庫)

魔法飛行 (中公文庫)

1冊を通して灰色のイメージ(とりわけ前半にその色が濃い)
でもそのなかにどこかに飛んでいけそうな白い光も感じられて。
たしか初読でもそうだった、「しかし世界には〜」の回に圧倒される。
個人的な出来事があったのだろう(と推測される)とき、そのときの感情の入った文章は、こんなにも強い。


わたし、どうやら「繊細さん」だったようだ。

この本を手に取ったきっかけはふたつ。
まずは最上もがさんのInstagram、この著者さんの別著に触れてたのを目にして。
そしてちょうど同じ時期、たまたま本屋さんで見かけて立ち読みした『anan』のバックナンバーにて。

よくある「この質問のうち、いくつかYESと答えた人は『繊細さん』かも!?」といった類の質問コーナーを見たところで。
びっくりした、きれいに全部当てはまってやんの。こんなことあるんか。。。
驚いたところで、各種レビューも参考にさせてもらってこちらを購入。

たとえば、会社の電話を取るかどうかのくだり。
最近まで数年間、職場の電話係もする部署に所属していたところで、
まさにそう、"自分の仕事が遅い"から、キャリアの途中からは電話が鳴るたびに自分を宥めすかしていた。
「さっきワンコールで取ったでしょ、だからしばらくは自分がワンコールで取らなくていいのよ」と。
そしてこのことを面談で(割と理解のありそうな)上司にも話してみたものの、あまり腑に落ちない様子だったことも思い出した。
今となってはそのことも経験だ、と思えてはいるけれど。

苦手をがんばるのでなく、得意をがんばる、後者に近い環境に動けたことは本当によかったことだと思う。
在宅期間が終わったいまだからこそ、改めて。

なかには表現について引っかかる箇所もあったけれど、それも「繊細さん」ならではの反応なのかもなぁ、などと。
読んでよかったし、自分の味方が増えたような気持ち。ときどき読み返そうと思う。


装丁の美しさと、帯の文章を読んで「自らの状況に近しいところがあるな」と思って手に取った。
…きっと共感を求めていたんだと思う。でもそれは叶わなかった。著者のような道は選べてないし、選べそうにもないや。

たぶん、他人ごととして、違う環境や立場で読めたらきっともっとわくわく読めたんだろうなぁ。
近しい状況にいる著者と自分を比較することで、相対的に自らの価値観を見つめられた、という価値はあったし、
いくつかの言葉は響いて残っている。その言葉たちはたぶん、いまのわたしの環境だからこそ残ったものたち。

* * * * * * *



(画像がひっくり返る。なぜ。)
何度目かの直島、一度目のベネッセハウス(泊)。

直島はわたしにとってうってつけのリゾート地だよなと、何度目かの感想。
日帰りできるけれども、日常からは遠い場所で、
馴染みのある瀬戸内海の海景なのに、普段の生活ではお目にかかれない作品があって。

たぶん、港からフェリーで1時間というのがちょうどよい塩梅で。
おそらくこれより遠いと気軽には行けないし、
かと言って15分では近すぎる、なおあくまでも「リゾート」としての話

別荘のように、とはいかないけれど、ベネッセハウスをひとつ逃避行の選択肢にできると、よりよい生活になるのではないかなぁ


それにしても、こういう話ばっかりでブログを埋めてしまうこと、早半年以上。
そろそろどこかに行きたい、行ってたのしみたい。家にいるのは割とすきだけれど。なぁ。

<2020年6月の読書日記>

エレンの日記

エレンの日記

たしかこのtweetで知って、買ったのは広島の本屋さんにて。

美しい彫刻のような本で、それを眺めるような読書だった。
シンプルだけれども複雑で、ところどころ鋭利な切先があって、すっとひとり立っている。ただそこに立って、自立している、そんな本。

こちらになにかを投げかけたり、ましてや共感を求めることもない。
だからその切先に怖さや反発はない。こちらとは適度な距離感で、ただそこに"ある"だけ。

遠い世界の違う時代*1を生きていた記録。
それも含めて、わたしにとっては貴重な本だった。すきです。


ナイン・ストーリーズ (新潮文庫)

ナイン・ストーリーズ (新潮文庫)

再読。前回読んだときの感想はこちら。

今回読後の印象が強烈だったのは「コネティカットの〜」。なんというか、胸を掴まれる思い。
笑い男」も「小舟のほとりで」も前回より強く印象に残っている。
今回はひとつ読むごとにWikipediaなどで解説を読みながら読んでみたところで、
いかに自分が物語の表面をなぞっていただけかを思い知らされた。痛烈に。


おめかしの引力 (朝日文庫)

おめかしの引力 (朝日文庫)

表題の朝日新聞での連載はちょこちょこ読んでたし、単行本でも通して読んだことがあったので、
「あぁこれこれ」といった馴染み深さを感じつつ。

文庫本で追加された、雑誌「ELLE」の連載と最後の対談部分、前半とのトーンの対比がすさまじい。
表題部分の連載で多く話されているのは、個人のこと(幼少期の思い出含む)だったのに対して、
こちらでは世界的メゾンのこと、そして社会のことへと、お話のスケールがどんどん大きくなるさまに圧倒されるなど。

もちろん(連載、そして対談の)場の力によるところもあるんだろうなと思いつつ、
どっちも大切なお話だし、耳を傾けていたいな、と
そう思わせられるのは、わたしが「未映子さんの文章」の読者だからなのかなぁ。


* * * * * * *


世の中は少しずつ動きはじめているけれど、わたしにとってはまだまだまったく動いてなくて。
それはたぶん、ライブも試合もなくて、出かける予定もないからで。
それがあってはじめてわたしの「生活」が成り立つのかもしれないなぁ、などと。

そんななか、いちばん身近な「心の病院」へ、現地へ行けたことがどれだけ大きいことだったか。
改装工事が終わったばかりの、猪熊弦一郎現代美術館へ。


(撮影可の某展示作品をアップで撮影)(これだけ見てもさっぱりわからんね)(…)

中のつくりがほぼ変わってなくてうれしかった!
安心感のある天井の高さも、踊り出したくなる床も、何十分も眺めていられる窓の、そして展示室の景色も。
リニューアルしたカフェにはまだ行けてないから、近いうちにうち行くつもり。

こうやって少しずつでも、ひとつずつでもいいから、
これまで近くにあった(そして今回離れてしまった)しあわせが帰ってきますように。
そのためにも、新しいものを受け入れる努力もしないといけない、ね。

*1:こちらも生まれてはいたけれど

<2020年5月の読書日記>

Kindleにて、出先でちびちび読んでたのを読了。

ジェーン・スーさんのラジオを聴くようになって早5年くらいかしらん、
これがものごとにあたるときのスーさんと基本スタンスなのかもしれないなぁ、などと勝手なことを。

そしてスーさんがすごいと思うのは、この基本をどんどんアップデートしていっているところ。
日日のTBSラジオ『生活は踊る』をほぼ欠かさず(抜粋して、1週間遅れで)聴いているんだけれど、それが目に見えてよくわかる。すごい。
(と、偉そうに言ってしまったけれど、わたしも見習ってそうありたいです)

何事もソフトランディングできる点で、加齢は敵ではありませんでした。
(「あとがき」より)

そして思い出すのは、ビートニクスのこの曲のこの歌詞。

若き日は 生きるのに 手間がかかって
迷い込む道も たくさんある
(「A Song 4 Beats」THE BEATNIKS

https://sp.uta-net.com/song/120210/

この言葉を信じて、加齢していこうとおもうなど。

* * * * * * *

なんだかんだで読了は1冊だったな。
完全在宅勤務の1ヶ月、県外はおろか隣町までしか出かけなかった1ヶ月。

<2020年4月の読書記録>

和田ラヂヲアンドレ・ザ・和田ラヂヲ』(和田ラヂヲ
絶版なのかしらん…?
広島の古本屋さんにて、書くのも恥ずかしいくらいの安直な理由で購入。
それでも面白さに間違いはなく。メェ〜〜〜〜〜


あーーー買ってよかった。
前半の穂村弘さんのインタビュー、そしていくつかの対談がとにかくよかった。面白かった。

読書は自分の知らないうちに出来上がってしまっている遠近感を捨てて、更新する力を持つものだと思います。

多和田葉子さんとの対談における川上さんのこの言葉に深く頷いている。

実はこの本を購入して読みはじめたのは、昨年の話で。
寄稿されたエッセイと論考をなかなか読み進められなくて(それぞれの著者が異なる文章だから、一回にひとつずつしか読めなかった)(という経験もはじめてで発見だった)
1冊読み終えるのにはずいぶんと時間がかかってしまったけれど、買ってよかった。


発光地帯 (中公文庫)

発光地帯 (中公文庫)

オモロマンティック・ボム! (新潮文庫)

オモロマンティック・ボム! (新潮文庫)

たぶん何度目かの再読。
未映子さんのエッセイは、こういうときにたしかなもののひとつ。(「こういうとき」って、まさにいまのこと)
近年のものよりも直接的な、生っぽいところがあって、
さくっと手軽に読ませてはくれない。けれども一気に引き込まれて、ページをめくる手は止まらない。
実際、今回はどちらも1日で読んだ(わたしには珍しい)


デッドエンドの思い出 (文春文庫)

デッドエンドの思い出 (文春文庫)

本棚の本を読み返そうシリーズ。


* * * * * * *


<2020年3月の読書記録>

プチ哲学 (中公文庫)

プチ哲学 (中公文庫)

昨年、夢眠書店にて購入。手にとったきっかけは、忘れるくらいにはたぶん些細なこと(…)

哲学は苦手だ。高校の倫理の授業で触れたときの印象しかないけれど、難しいし、よくわからない。
でもこの本を読みきって、「この本で伝えたかったことは、大きく言えば『考えることって、たのしいかも』ということです」と言われると、
あれ、わたし考えるの好き…というか考えこみがちなところあるぞ…?と思ったりもして。

読んでいる途中には、うーん、でもここまで思い至らないなぁと思うことも多いし…と思うところもあり、
とはいえ最後に収録されている「佐藤雅彦のプチ哲学的日々」の章を読むと、
あらっこういうのがプチ哲学的というのなら、やっぱり結構身近かも?とも思うし。
ただの逡巡かしらん。
とにかく、この本は手元に置いておいて、折に触れて開きたいなと思うことはたしか。


京都で考えた

京都で考えた

  • 作者:吉田篤弘
  • 発売日: 2017/10/20
  • メディア: 単行本
まさに「考えた」ことを、思考回路をそのまま記述しているかのような本で、
この本を読むことは、著者の思考を追体験させてもらっているかのような体験だった。
頭のなかで考えたことを、こんなにするりと読めるように、的確に伝わるように言葉に、文章にできるのがすごいなぁと思いつつ。
著者にとって「リセットする場所」である京都で読めたのも、同じく「リセット」のために京都を訪れていた身にはこころよかった。


『ある協会』ヴァージニア・ウルフ


このツイートをきっかけに手にとった、と記憶してる。購入は京都の恵文社にて。
これが…およそ100年前に書かれたお話なの…?というのが一番に出てきた感想。
いまの、この2020年の話をしているのかと思うほど、リアリティのある内容で。
それがちゃんとお話として面白くなっていることにも脱帽してる。

最後の段落がこのお話の要なのかなぁ。
かわいそうに、と思うと同時に、それをなんとかする側の立場にいることに気がついて、ちょっと途方に暮れてもいる。
100年後に読んだわたしだって、わっと泣き出してしまいそうだもの。


本屋、はじめました 増補版 (ちくま文庫)

本屋、はじめました 増補版 (ちくま文庫)

本屋Titleさん、いつか行ってみたいお店。(先ほどのtweetもTitleさんの)
しかしそう思って早半年以上、いまだ実現ならず…
実は今月上旬の関東遠征の際に行ってみようと思っていて、ちょうど増補版が出たところでこの本を手に取ってたんだけど。
残念ながら各種イヴェントが中止となったため、遠征も中止することとなり。。。

読みおわったいま思うのは、お店に行く前にこの本を読めて、読む時間を取れてよかったんだと思う。
というのも、行きたいなと思ってからの半年以上の間で、インターネットから得た情報をもとに、想像だけはめいっぱいしてて。
きっとこんなお店なんだろうなと、いわば夢をみている(別の言いかたをすれば、妄想している)状態。まぁそれがたのしいんだよなぁ。

そんな状態のなかでこの本を読んで。
その"夢(あるいはいっそ妄想)"を、"現実"にするためには、
そんなお店を実際に存在させて、それを事業として継続するためには、
これほどまでに現実的な仕事の積み重ねが必要なんだなと。圧倒されている。

いつか必ず行く、と改めて決意すると同時に、近くのお気に入りの個人書店をだいじにしよう、と。


* * * * * * *



たくさんのことががらっと変わった1ヶ月、みなさま元気にお過ごしでしょうか。
わたしはすこぶる体調よく(あっ体重は多少増えてる…)、とはいえ気持ちの面で落ち込むところもありますが、
なんとかかんとかやっています。

実は今月頭に念願叶って異動したものの、異動先の仕事がなぜだか白紙になり、
再開が決まってはいるものの時期未定、といったところで。
まぁ忍耐と鍛錬の時期なんだろうな、ということにしている。

また会う日にはどうか笑顔で、それまで元気でいられますように。