Dreamin' Dawn

たいがいまぁまぁのポエム

<2023年10月の読書記録>

短編〜中編が収録された単行本、だけれども、なにはともあれ表題作。
…こうして言葉にされて、読者として体験した感想としては「こわい」んだけど、普段の自分を振り返るとめっちゃ「わかる」んだよね。

口にする言葉と別の言葉が頭に浮かんでいることとか、「ここではこう思うべきだから」と自分の気持ちをそこに近づけていくこととか、
おそらく「善行」だと呼ばれる行為を誰も知らないまま成すことで「本物」だと感じることとか、
それでもより"過激"な望海と会うことで、それを自責する場面があるとか。

たとえば、取引先との"飲み会"に連れ出されて、猫を被りまくった自分を褒める言葉として「娘にもあなたのように育ってほしい」って言われて、
自分の娘にも同じようなことをさせたいんだ、いい子にしていてほしいんだ、って衝撃を受けている場面、めっちゃ身に覚えがある。

社内発表で自己紹介をする男性が、「今の夢は娘が玉の輿に乗ることです」って、当たり前のようにネタとして話していて、
いやネタなんだろうけど、ネタでも言っていいことと悪いことがあるじゃん?それってネタとして言っていいほうのことなんだ、
もし自分の親が会社で言ってたらと思うとゾッとするけど、、、と思ったことを、思い出した。

「これもまた読書の醍醐味」とかまとめられたらいいけれど、たぶんそんな感じのことを思ってはいるんだけれど、
そうまとめることをなんだか拒否している気持ちもあるんだよな、いま


こっちは率直にこわかった。特に最後の「娘について」について。
それこそ偶然「いい子のあくび」と重なる部分があったんだけれど、こちらは共感よりこわさが勝っていた。ただただこわかった。


本文もだけれど、このインタビュー記事がめちゃめちゃよかったので記録。
そうなんだよね、言葉を使うことってものすごくままならないんだよね。
相手がどう受け取るか、なにを感じるかはまったくわからない、
だからこそ感じられるよろこびもあるけれど、決定的な決裂になってしまうこともある。そうなんだよ、ままならないんだよなぁ。


meandyou.net


そしてもうひとつこのお話。『夏物語』を再読しようと思った。

存在することが罪とまでは言えなくても、生きていることには業がありますよね。この業ってものを、どうしたらいいのか。どうやって引き受けたらいいのか。あるいは、なにもしなくていいのか。考えています。

生まれ落ちた罪、生き残る罰、嗚呼