Dreamin' Dawn

たいがいまぁまぁのポエム

<2024年2月の読書記録>

柚木麻子さんの小説2冊目。1冊目に読んだ『早稲女、女、男』と違って、ちゃんと「物語」を読んだ気がする。

「横浜」って、こういう街だったんだなぁ。F・マリノスのサポーターになって15年以上、毎年何回も訪れる、友人も多く住んでいる街だけど、だからこその感慨でもある。
山手のあたり、また横浜生まれ横浜育ちのお友だちと巡ってみたいなぁ、、、

もうひとつ、登場人物の女性が、「今は『一度失敗したら終わり、もう許されない』という状況なのが本当にかわいそう」というようなことを言っていて、
そうか、それってかわいそうなんだ、と思う。それが当たり前として生きてきた側なので。そうか。そうじゃない時代があったんだよなぁ。
こう感じる世代だからこそ、この作品を「物語」として、ある意味で客観的に読めたんだろうかな。



柚木麻子さんの小説3冊目。強烈だった。この作品、映像化されてるそうだけれど、こわくて見られそうにない。。。

www.mbs.jp
ドラマ版公式サイトの「震撼恋愛ミステリー」の文字にちょっとほっとしてる。これは…ミステリーだと思ったから。

1月の読書記録で書いたとおり、「他人から評価されることがこわい」と感じたところにこの伊藤。

楽しいより、充実感を得るより、金を稼ぐより、傷つけられない方が本当は重要なんですよ。僕もそうです。
(中略)
だから、決して、作品を完成させるつもりはないんです。作品ができたら、必ず批判されます。

これを貫いている伊藤は、強い。作中でもほかの登場人物にこう言われている。

結局、自分から何も発さない人間がこの世界で一番強いのだ。

そうなんだよ。そしてわたしにそうなるだけの覚悟はないんだよな…ということを突きつけられている。これをこうして書いている時点で、ね。



『ひとりになること 花をおくるよ』
book.asahi.com

植本一子さんと、滝口悠生さんの往復書簡。
個人出版の作品だそうで、公式サイトが見当たらないのでこちらリンクを貼らせてもらう。。。

それぞれの最後の一通に書かれたこの言葉たち、
「これがすべてを物語っている」とまとめることは的外れだけれど、すごく印象に残っている。こうしてメモしてしまうくらいには。

一子さんのこの言葉

関係性は目に見えないから、私はこうして言葉で形にしたいんだと思います。

滝口さんのこの言葉

自分が言いたいことが相手に伝わることへの執着の薄さは、やはり自分が小説を書くひとだからなのか、自分の書く言葉は、届けと思って届くより、自分から遠く離れたところで、偶然のように届いてほしいと思う気持ちがあるような気がします。

そして武田砂鉄さんのあとがきも、とてもよかった。「なんとかやる、それしかない」その通りだと思う。